亜鉛は糖代謝・成長・味覚に必須のミネラル

各種酵素・タンパク質生成の鍵を握る金属元素

桜井 弘 著 1998.09.30 発行
ISBN 4-89295-390-3 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


不足は味覚などに異常をきたす

亜鉛は糖代謝・成長・味覚に必須のミネラル

若者に増えている味覚異常
以前は、亜鉛の欠乏はごく限られた例と考えられてきたのですが、最近は違っています。
冨田寛・日本大学医学部名誉教授の研究によると、最近の若い人々や下宿をしている学生たちなどの中には、「食べ物の味がわからない」「何を食べてもおいしくない」「イヤなにおいがする」などの味覚症状を訴える人々が増えていて、その原因には亜鉛欠乏があることが明らかにされています。

味蕾細胞をつくる亜鉛
舌には「味蕾」と呼ばれる小器官があり、「おいしい」とか「辛い、甘い」といった食べ物などの味はここで感じとられます。舌の表面をよく見ると、白い突起物(糸状乳頭)とその中に赤い斑点状のもの(茸状乳頭)があります。
味蕾は、茸状乳頭の中にあり、顕微鏡で調べると花のつぼみ(蕾)のような形をしているため、この名前がつけられたのです。味蕾は舌の先のみならず、舌の奥、舌の両側の付け根、上顎の奥など口の中全体にあり、その数は6000個以上になるといわれています。
味蕾は、代謝速度の速い組織で、亜鉛によって細胞の形成が促進されています。亜鉛が欠乏すると、味蕾細胞を十分につくることができず、その結果、味がわからなくなると考えられています。もちろん、味覚異常は亜鉛欠乏だけが原因ではありません。
味覚異常の原因には、服用する医薬品によるもの25%)、亜鉛欠乏(15%)、特発性(14%)、全身の疾患によるもの(14%)、心因性(11%)などがあげられています。

加工食・ファーストフードも一因
亜鉛欠乏になる要因としては、加工食やファーストフードなどで食事を済ませる生活が長く続くことや、無理なダイエットなどが引き金になると考えられています。
ちなみにファーストフード中には、亜鉛をよく結合するフィチン酸、ポリリン酸、EDTA(金属と結合する化合物)、カルボキシメチルセルロースなどの食品添加物の一種が多く含まれています。
フィチン酸は、しょう油や漬け物などの変色、変質を防ぐため、あるいは保存性をよくするために加えられます。また、かまぼこや豆腐、清涼飲料水などには弾力性をもたせたり、やわらかくして舌ざわりをよくしたり、変色防止の目的でポリリン酸ナトリウムが加えられています。

目や嗅覚にも異常がおきる
亜鉛欠乏は、味覚障害のみならず、視覚や嗅覚の異常をも引きおこします。なぜなら、これらの組織(舌、眼および鼻など)には比較的多くの亜鉛が存在しているからです。
目(視覚)と舌(味覚)と鼻(嗅覚)の機能に異常や障害がおきますと、私たちの日常生活は色あせたものになるでしょうから、たかが亜鉛欠乏とあなどってはいけません。


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