亜鉛は糖代謝・成長・味覚に必須のミネラル

各種酵素・タンパク質生成の鍵を握る金属元素

桜井 弘 著 1998.09.30 発行
ISBN 4-89295-390-3 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


各種酵素・タンパク質に存在

亜鉛は糖代謝・成長・味覚に必須のミネラル

体の中の亜鉛の“存在形”
私たちの体の中では、亜鉛はどんな形で存在するのでしょうか。
これを、専門的に「体の中の亜鉛の存在形」といいます。
体の中の亜鉛は、つぎの項で紹介する酵素やタンパク質中に存在するものが大部分ですが、ここでは血液中での亜鉛の存在形について述べます。
血液中の亜鉛は、赤血球 血漿 白血球の順で含まれています。赤血球中の亜鉛の大部分は、後に述べる炭酸脱水酵素中に見いだされます。
血清中の亜鉛は、アルブミンという輸送タンパク質に66%、α―マクログロブリンに32%、そしてヒスチジンやシステインなどのアミノ酸に2%が結合して存在し、組織中にはアルブミンやアミノ酸との錯体を経由して輸送されています。

亜鉛を含むタンパク質と酵素
これまでに亜鉛を含むタンパク質や酵素(触媒活性をもっているタンパク質)は200種以上が知られています。亜鉛を含む代表的な酵素を27ページの表にあげておきました。
合成酵素以外は、人や哺乳動物に見いだされています。代表的な酵素について説明しておきます。
代謝機能が進む中で、細胞(組織)で絶えず生成する炭酸ガス CO2 は血漿を経て、赤血球に入ります。ここで炭酸脱水酵素の作用を受け、炭酸 H2CO3 となり、これが酸素化型ヘモグロビン HbO2- と作用して、炭酸水素イオン HCO3- 、還元型ヘモグロビン H・Hb および酸素ガス O2 を生じて、各組織に酸素が供給されます。

     脱水酵素
CO2 +H2O →  H2CO3
H2CO3 + HbO2- → HCO3- + H・Hb + O2
一方、肺では、新鮮な空気が十分にあるため還元型ヘモグロビン H・Hb が HCO3- と反応し、酸素化型ヘモグロビン HbO2- と H2CO3 を生成します。こうしてできた炭酸は、再び炭酸脱水酵素の作用を受けて CO2 と H2Oに分解し、二酸化炭素が肺から排出されます。

O2 + H・Hb+ HCO3- → HbO2- +H2CO3

   炭酸脱水酵素
H2CO3   →   H2O+CO2

このようにして炭酸脱水酵素は私たちの呼吸に重要な役割を果たしています。

お酒の分解にも役立っている亜鉛
体の中のお酒を分解して、体に負担がかからないように働いてくれるのも亜鉛の作用の一つです。
 それを、みてみましょう。私たちがお酒を飲んだ時に肝臓でエタノールC2H5OHが代謝されていく過程で、まず最初に作用する酵素が、アルコール脱水素酵素です。
まず、アルコールは、アルコール脱水素酵素(亜鉛を含む酵素)の作用を受けてアセトアルデヒドCH3CHO になり、つぎにアルデヒド脱水素酵素(亜鉛酵素ではない)の作用で酢酸CH3COOH となります。

   アルコール脱水素酵素 アルデヒド脱水素酵素
C2H5OH    →    CH3CHO   →    CH3COOH

お酒に弱い人は、アルデヒド脱水素酵素が不足しているため、頭痛や吐き気の原因となるアセトアルデヒドがたまってしまうのです。このように、亜鉛はお酒の飲まれ方にも関係しています。
体の中には200種類以上もの亜鉛を含む酵素・タンパク質が存在し、それらが複合的に作用し、さまざまな生理機能に関係しています。ところがその過程はあまりにも複雑すぎて、ほとんど解明されるには至っていません。
今後、体の中の亜鉛の機能が完全に解明されるためには、まだ何十年もかかると言われているのが現状です。


※表省略

その他の各種サプリメント関連書籍