痴呆症、うつ、ADHDに克つホスファチジルセリン

高齢化・ストレス社会から脳を守るブレインフード

矢澤 一良 著 2002.04.27 発行
ISBN 4-89295-426-8 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


痴呆症に対してここまで効く

痴呆症、うつ、ADHDに克つホスファチジルセリン

原因不明の痴呆症が増えている
自然の老化とは別に、何らかの原因で脳の神経細胞が一度に多量に死滅し、知能障害が引き起こされてくるのが痴呆症です。
痴呆症は、脳卒中の後遺症として出現する「脳血管型」と、原因不明の「アルツハイマー症」に大別できますが、いずれも決定的な治療法はなく、いったん発生すると回復は困難とされています。
とくにアルツハイマー症については、原因がわからないため、予防法さえ確立していないのが現状です。
日本では、かつて痴呆といえば脳血管型の痴呆が主流でした。ところが、近ごろはやっかいなアルツハイマー症が急増したこともあって、痴呆医療はさらに混迷をきわめています。

信頼できる「二重盲検法」で成果
そうしたなか、欧米では、痴呆症の患者さんにホスファチジルセリンの投与を試みる臨床試験が数多く行なわれ、大きな成果をみています。
しかも「二重盲検法」という厳格な試験法で明らかな効果が確認されている点で、大変価値があります。
二重盲検法というのは、対象の患者さんを二つのグループに分けて、いっぽうのグループには本物の薬(この場合はホスファチジルセリン)を、そしてもういっぽうのグループには本物そっくりのプラセボ(偽薬)をとってもらい、両者の症状の変化を比較する試験法です。
患者さんはもとより、その患者さんに薬を手渡す医師にも、どちらが本物であるかを秘密にすることで、きわめて客観的な結果を得られることから、この試験で得られた結果は高く評価されます。
ホスファチジルセリンは、以下に紹介するようにこの厳しい二重盲検法で見事な成果をあげているのです。

【臨床試験1】
パルミエリらは、中等度の認識力低下が認められる痴呆症の患者さん八七名(五五〜八〇歳)を対象に、二重盲検法を実施しています。
その結果、ホスファチジルセリンを一日三〇〇rずつ、六〇日間にわたって投与したグループの患者さんは、そうでないグループの患者さんにくらべて、注意力や集中力、そして短期記憶力の改善が認められたといいます(29頁グラフ)。

注意力、集中力、短期記憶力の評価総合

【臨床試験2】
イタリアのセナッチらは、中等度から重度の認識力低下を示すアルツハイマー症の患者さん四二五名(六五〜九三歳)を対象に二重盲検法を行なっています。
試験では、患者さんを二群に分け、いっぽうの群にだけホスファチジルセリンを一日三〇〇rずつ、六ヵ月にわたって投与し、症状の変化をみています。
結果は、左頁の図のようにホスファチジルセリン投与群は、そうでない群にくらべて記憶力や学習能力に関する評価(全想起力、長期保持力、長期回復力および長期回復一貫性)で明らかな改善がみられました。
また、態度の自閉や無感動に対してもホスファチジルセリンの投与群が有効だったと報告されています。

ホスファチジルセリンによる記憶力と学習力の改善効果


【臨床試験3】
同じイタリアのアマデュッチらは、四〇〜八〇歳の一一五名のアルツハイマー症の患者さんを二群に分けて、やはりいっぽうの群にだけホスファチジルセリンを三ヵ月にわたって投与する試験を実施しています。
その結果、ホスファチジルセリンの投与量が一日二〇〇rと少なかったせいか試験期間中は両群に目立った差はみられませんでした。
ところが、試験終了後も追跡調査を続けたところ、三ヵ月たって両群に明確な差が出ました。
ホスファチジルセリン投与群では、記憶力や日常活動の能力などに明らかな効果が認められたのです(下段図)。

アルツハイマー症に対するホスファチジルセリンの効果


【臨床試験4】
前出のクロック博士らも、五十一名のアルツハイマー症の患者さん(五五〜八五歳)を対象に二重盲検法で試験を行なっています。
それによると、ホスファチジルセリンを十二週間にわたって毎日三〇〇rずつ投与したグループの患者さんは、そうでないグループの患者さんにくらべて、記憶力の改善がみられたといいます。
なかでも、比較的軽度の認識障害の患者さんたちは、記憶力以外に、認識力や集中力も改善されたそうです。

早い段階の痴呆症なら防止できる
このほか、動脈硬化による脳循環障害の患者さん四〇名を対象にした試験もあります。
三〇日後の結果は、治療薬とあわせてホスファチジルセリンを投与(注射)した群の患者さんは、治療薬だけを与えた群の患者さんより改善率が高く、無力感・不眠症・不安感・想起力のいずれかで有意な改善効果がみられています。
また、一七〇名の痴呆症の患者さんを対象にした別の試験では、九〇日間にわたってホスファチジルセリンの投与が試みられています。
その結果、進行した記憶力低下の患者さんには注意力や警戒心の改善がみられ、比較的早い段階の痴呆症なら、症状の発現を防止できることが明らかにされています。

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