体の中の鉄のはたらき

貧血予防・意欲向上などに欠かせない微量栄養素

桜井 弘 著 1997.11.25 発行
ISBN 4-89295-383-0 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


見事な連携で酸素を供給する

体の中の鉄のはたらき

ヘモグロビン
……ヘモグロビン(hemoglobin)は、肺から吸い込んだ酸素分子を結合し、それを体全身に送り込む最も重要な役割を持っています。
分子量は約6万4千の大きなタンパク質で、ヘム鉄(図1の右上=10頁)を持っているため赤い色をしていますが、酸素分子を結合するともっと鮮やかな赤色を示します。このヘム鉄とグロビンとよばれているタンパク質とが結合したものが四個そろって一つのかたまりを形成しています。
詳しくなりますが、4個のうち2個ずつは同じものであり、それぞれをアルファサブユニットとベータサブユニットとよんでいます。すなわちヘモグロビン1分子は、4個のヘム鉄タンパク質の集合体と考えてよいことになります。酸素分子はヘム鉄と直接結合することができます。赤血球1個にはおよそ2〜3億分子のヘモグロビンが含まれています。

ミオグロビン
……ミオグロビン(myoglobin)は、ヘモグロビンの4分の1の大きさ、すなわち1分子にヘム鉄―グロビン結合体を1個持つタンパク質です。
ミオグロビンは“筋肉ヘモグロビン”とも言われるように、筋肉中にあってヘモグロビンから酸素分子を受け取り、それを結合して筋組織に蓄える役割を持っています。

酸素濃度のちがいによって機能分担
ヘモグロビンもミオグロビンも共に酸素分子と結合するという点では、まったく同じ性質を持っています。しかし、酸素濃度のちがいによって、この二つのタンパク質は全く異った挙動をすることが知られています。
ヘモグロビンは、肺のように酸素分子がたくさんあるところでは酸素分子とよく結合しますが、体の末端部分のように酸素濃度が低いところでは酸素分子を放出しやすい性質を持っています。
一方のミオグロビンは、全身の筋肉中のような酸素濃度の低いところで酸素分子をよく結合し、酸素分子を蓄えるのに都合のよい性質を持っているのです。ミオグロビンがなぜ筋肉に多いかは、この理由でお分かりでしょう。
このようにヘモグロビンとミオグロビンは酸素分子との結合のしやすさと、それらの存在場所に関して見事に機能を分担しています。生命の神秘そのものです。


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