体の中の鉄のはたらき

貧血予防・意欲向上などに欠かせない微量栄養素

桜井 弘 著 1997.11.25 発行
ISBN 4-89295-383-0 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


危険な鉄の過剰摂取

体の中の鉄のはたらき

過ぎたるは及ばざるが如し
体の中に鉄が過剰に蓄積すると、健康に障害が現われてくることがあります。その原因には、次のような例が知られています。
《過度の鉄吸収》
・遺伝性鉄過剰症(ヘモクロマトーシス)
・鉄の過剰摂取
・慢性アルコール中毒(バンツー鉄過剰症)

《輸血に由来する鉄の蓄積》
・重症のβ―サラセミア
・β―サラセミアH6E症

鉄の過剰摂取は、腸管で鉄の吸収が異常に高まることに原因するものと言われ、貯蔵鉄量が健康な人の数十倍となり、肝硬変、糖尿、皮膚への色素沈着などを生じさせます。この症状がさらに進行すると、不整脈、肝ガン、心不全などのために死に至ることもあると言われています。
バンツー鉄過剰症(慢性アルコール中毒)は、アフリカのバンツー族が鉄製の容器を使ってアルコール発酵させた飲み物をつくり、これを常用していたために、鉄過剰症を引き起こしたものです。男性では1日に100ミリグラムの鉄をとっていたと考えられています。鉄が肝細胞に作用して、肝硬変、肝ガンを引き起こしたものでしょう。
サラセミア症も同様に、輸血した血液のヘモグロビンが分解し、その鉄が肝臓に蓄積して肝臓に障害を起こした例です。

DNAを傷付け、発ガンの原因にも
このような一連の鉄過剰症は、活性酸素、特にヒドロキシルラジカル(・OH)の生成(図3=252頁)を促進し、タンパク質を分解したり、脂質分子に過酸化反応を引き起こしたりします。
また、細胞膜に障害を与えたり、あるいは遺伝子、特にDNA分子に障害を与えたりして、細胞の機能障害や場合によってはガンを引き起こす原因となります。
そして、過剰な鉄がガン細胞や細菌へ供給されて、これらを増殖させる原因となったりすることもあります。
このため、鉄を有効に体の外へ除去する化合物(キレート剤あるいは配位子とよんでいます)、特にデスフェリオキサミンとよばれる化合物を注射して、過剰な鉄を尿中に排泄させてしまうなどの治療が行われています。

※図省略


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