肺がん、がん免疫療法にラクトフェリン

各種がん患者のQOL(生活の質)向上に役立つ

安藤 邦雄 著 2009.12.16 発行
ISBN 978-4-89295-805-2 C2177  文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


免疫力を高めるしくみ

肺がん、がん免疫療法にラクトフェリン

小腸のパイエル板から吸収
ラクトフェリンは、体内の最大の免疫組織である「腸管関連リンパ組織」を介して、免疫力を高めます。
そのしくみを順に説明していきましょう。
食事でとった成分の多くは、小腸の壁から体内へ吸収されますが、ラクトフェリンはとても大きな構造をしているため、小腸から吸収するのは無理と考えられてきました。
ところが、最近の研究で、ラクトフェリンは小腸の壁に点在している「パイエル板」と呼ばれる免疫の窓(M細胞)を通過し、免疫細胞が集まっているリンパ管へ入ることがわかってきました。
じつは、パイエル板は、腸管免疫のカナメを担う重要な組織です。
本来、その表面に分布するM細胞は、病原菌などの異物を取り込むための窓で、異物が入ってくると、免疫細胞の基地(リンパ小節)から、免疫細胞が飛び出して来て、すみやかに異物を捕獲し、排除します。
他方、ラクトフェリンがパイエル板のM細胞を通過すると、未成熟な「樹状細胞」という免疫細胞が自然に集まってきます(図)。

樹状細胞の役割
樹状細胞は、前記したように自然免疫に属する免疫細胞の一つで、自然免疫と獲得免疫を橋渡しするキーパーソンとして非常に注目されています。
先に説明したヘルパーT細胞へがんの情報を伝える作用は、同じ自然免疫の仲間であるマクロファージにもありますが、樹状細胞のほうが断然すぐれています。
マクロファージは、過去に同じがんと闘った経験のあるT細胞にしか情報を伝えることができないのに対し、樹状細胞は未経験≠フT細胞にも情報を伝え、活性化できる唯一の存在なのです。
ただし、樹状細胞が未成熟の状態だと、がんの情報をヘルパーT細胞に伝えることができません。
この樹状細胞の成熟を促すのが、ラクトフェリンなのです。

NK細胞も活性化
加えて、ラクトフェリンは、自然免疫の猛者である「NK細胞」の活性化にも寄与しています。
NK細胞のNK≠ヘ、ナチュラルキラー(Natural Killer)の略で、「生まれながらの殺し屋」を意味します。
つまり、そのくらいがんを叩く力が強いということです。
ラクトフェリンの摂取でこのNK細胞が活性化される背景には、インターフェロンの関与が推測されます。
インターフェロンは、体内にがんが生じたとき、免疫細胞が作り出すたんぱく質の一種です。自らがんの増殖を抑えるとともに、NK細胞を活性化する働きがあります。
ラクトフェリンは、このインターフェロンの体内産生を促すことも確認されているのです。
健康な人がラクトフェリンを摂取した研究では、免疫細胞(プラズマ細胞由来樹状細胞pDC)のインターフェロン産生能が1週間で2・5倍、4週間で3倍近く増加したと報告されています(図)。
つまり、ラクトフェリンは、がんに対する「自然免疫」と、それに続く「獲得免疫」の双方を亢進させる働きがあり、がん免疫に対して決定的な役割を果たしているといえます。
ただし、NK細胞を活性化したり、インターフェロンの産生を促す効果は、腸溶性のラクトフェリン(46ページ)に限られます。

※図省略

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