
ナス科の一年草
トウガラシ(唐辛子)は、ジャガイモやトマトなどと同じナス科の植物でトウガラシ属に属し、学名を「カプシカム・アニューム(Capsicum annuum)」といいます。
温帯では一年草、熱帯では木のような大きめな多年草となります。トウガラシにはアニューム、シネンスなど五つの栽培種がありますが、世界各地で広く栽培されているのはアニューム(annuum)です。
原産地はメキシコやアメリカ南部の熱帯地域と考えられており、今でも、祖先種の「変種ミニマム」という植物がアメリカのフロリダ、アリゾナからメキシコ、コロンビア一帯に雑草として自生しています。
コショウと勘違い
トウガラシがヨーロッパに広まったのは、十五世紀のことです。一四九二年、アメリカ大陸を“発見”したコロンブス(一四四六?〜一五〇六)は、同時にトウガラシをも発見したのです。
コロンブスの旅の目的は、インドの香辛料「コショウ」とジパング(日本)の黄金を求めたものでした。ところが、新大陸をインドと、トウガラシをコショウだと思い込んでしまったようなのです。
翌年、コロンブスはこれをスペインに持ち帰りました。一五四八年にはイギリスに入り、十六世紀の中ごろにはヨーロッパ全域に広まりました。
その後、ポルトガルがトウガラシの種子をインドへ伝え、ついでアフリカ、東南アジア、中国へと広まっていきました。こうして、トウガラシはわずか一〇〇年余りの間に世界中に伝播されるようになったのです。
十六世紀には日本へ伝来
トウガラシが日本に伝わったのは、十六世紀のことです。日本への渡来については二、三の説がありますが、一五四二年(天文十一)ポルトガル人によって長崎の出島に持ち込まれたのが最初というのが有力です。
南蛮船が中国の港を経て長崎にこれをもたらしたということで、「唐(中国)の芥子」とか「南蛮」とよばれるようになりました。
他の説に、豊臣秀吉の朝鮮出兵(一五九二〜九八年)の際に兵士が持ち帰ったというものもあります。「高麗胡椒」の名はこれに由来しています。
その後、明治に入って辛味のないトウガラシなど多くの品種が導入されるようになりました。
とうがらし | ししとうがらし | 青ピーマン | 赤ピーマン | |
エネルギー(kcal) | 96 | 27 | 22 | 30 |
たんぱく質(g) | 3.9 | 1.9 | 0.9 | 1 |
脂質(g) | 3.4 | 0.3 | 0.2 | 0.2 |
炭水化物(g) | 16.3 | 5.7 | 5.1 | 7.2 |
灰分(g) | 1.4 | 0.7 | 0.4 | 0.5 |
ナトリウム(r) | 6 | 1 | 1 | - |
カリウム(r) | 760 | 340 | 190 | 210 |
カルシウム(r) | 20 | 11 | 11 | 7 |
マグネシウム(r) | 42 | 21 | 11 | 10 |
リン(r) | 71 | 34 | 22 | 22 |
鉄(r) | 2 | 0.5 | 0.4 | 0.4 |
亜鉛(r) | 0.5 | 0.3 | 0.2 | 0.2 |
銅(r) | 0.23 | 0.1 | 0.06 | 0.03 |
カロチン( g) | 7700 | 530 | 400 | 1100 |
レチノール当量( g) | 1300 | 88 | 67 | 180 |
ビタミンD( g) | 0 | 0 | 0 | 0 |
ビタミンE(r) | 9.1 | 1.3 | 0.8 | 4.3 |
ビタミンK( g) | 27 | 51 | 20 | 7 |
ビタミンB1(r) | 0.14 | 0.07 | 0.03 | 0.06 |
ビタミンB2(r) | 0.36 | 0.07 | 0.03 | 0.14 |
ナイアシン(r) | 3.7 | 1.7 | 0.6 | 1.2 |
ビタミンB6(r) | 1 | 0.39 | 0.19 | 0.37 |
ビタミンB12( g) | 0 | 0 | 0 | 0 |
葉酸( g) | 41 | 33 | 26 | 68 |
パントテン酸(r) | 0.95 | 0.35 | 0.3 | 0.28 |
ビタミンC(r) | 120 | 57 | 76 | 170 |
コレステロール(r) | 0 | 0 | 0 | 0 |
水溶性食物繊維(g) | 1.4 | 0.3 | 0.6 | 0.5 |
不溶性食物繊維(g) | 8.9 | 3.3 | 1.7 | 1.1 |