ストレスと痛みを緩和する母乳成分ラクトフェリン

現代人の心身を癒す「多幸感物質」の驚くべき作用

原田 悦守 木元 博史 共著 2005.07.23 発行
ISBN 4-89295-605-8 C2177  文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


ラクトフェリンは体に吸収される?

ストレスと痛みを緩和する母乳成分ラクトフェリン

大人は胃で大半が分解される
ところで、ラクトフェリンはこれまで「口から摂取しても、体内にはほとんど吸収されない」とされてきました。
なぜなら、口から摂取したラクトフェリンの多くは、胃の中で「ペプシン」という強い酸性条件で作用するたんぱく質分解酵素によって細かく分解され、別の物質に変化してしまうからです。
絶食して胃内を空っぽにしたヒトでの実験で、胃の中でのラクトフェリンの半減期は7〜8分であることが報告されています(第5回ラクトフェリン国際会議、カナダ)。
人間の場合、食事由来のラクトフェリンが胃にとどまる時間は約2時間。その間ずっと消化液を浴び続けることを考えれば、大半のラクトフェリンは胃で分解され、体内には入っていかないというわけです。
実際に、成人男性にラクトフェリンをとってもらった研究では、20g摂取しても、血液中から検出できなかったと報告されています。

乳児はその恩恵に与っている
ただし、乳児は例外で、乳児の消化機能は未熟でペプシンが分泌されないため、母乳中のラクトフェリンは、胃を素通りして腸へどんどん送られます。
そして、腸に届いたラクトフェリンは、腸壁に設けられた専用のドア(上皮細胞の受容体とパイエル板)からリンパ液を介して血液中に取り込まれます。その後、全身の組織に届けられ、乳児の心身を多方面からガードするのです。
ところが、離乳後は、前記したように胃の中で強酸性で働くペプシンが分泌されるようになります。
ペプシンは、たんぱく質を分解する酵素であり、胃から分泌される塩酸が、食物とともに消化管に入ってくる病原菌をやっつける強力な殺菌剤です。一般の食品が母乳と違って雑菌だらけなのを考えれば、離乳食に切り替えた途端、ペプシンの分泌がスタートするのは非常に理に叶った生命現象です。
しかし、ペプシンがラクトフェリンまで分解してしまうところに問題があります。
ラクトフェリンがいかに優秀な健康成分でも、体内に吸収されないなら摂取しても意味がありません。
しかし不思議なことに、大人でもラクトフェリンをとると、さまざまな健康効果が得られます。その理由としては、胃で分解を免れたごく一部のラクトフェリンが血液中へ入って作用している可能性や、ラクトフェリンの分解物であるラクトフェリシンが腸で働いている可能性などが指摘されてきました。

腸溶タイプの開発が転機に
他方、著者らはここ数年、まったく別の側面からラクトフェリンの働きを探ってきました。きっかけは、2000年に『腸で溶けるタイプ(以下、腸溶タイプ)』のラクトフェリンが開発されたことでした。
腸溶タイプのラクトフェリンは、口から摂取しても胃でペプシンの影響を受けないように特殊コーティングされているため、ラクトフェリンをそのままの形で腸まで送り届けることができます。そして無事に腸までたどり着いたラクトフェリンは、腸壁から吸収され、乳児と同じ経路で体内に入っていきます。
著者の1人である原田らが、健康な成人に腸溶タイプのラクトフェリンをとってもらった研究では、わずか0・9gの摂取でも、4時間後、血液中からラクトフェリンが見事に検出されました。
しかも、腸溶タイプのラクトフェリンを使った研究では、これまで報告されていなかった新たな健康効果がいくつも確認できています。
2章でとりあげる脳・神経系に対する有効性や、3章の自己免疫疾患、4章の高脂血症などに対する作用などがそうです。
では、さっそくラクトフェリンの真の実力を詳しく探っていくことにしましょう。



※図省略

その他の各種サプリメント関連書籍