免疫細胞を活性化するベータ・グルカン

多糖類が免疫システムを強化して病原菌の侵入に勝つ

小松 靖弘 著 2005.09.19 発行
ISBN 4-89295-606-6 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


ベータ・グルカンの研究のあらまし

免疫細胞を活性化するベータ・グルカン

免疫療法剤として使用される
中国ではキノコは生薬のひとつとして、昔から珍重されてきました。体の免疫力を高め、抗ガン作用にも長けているといわれるのは、いったいキノコのどんな成分によるのか。この点については、なかなか解明されませんでした。
その主要な成分がベータ・グルカンであると判明したのは、1960年代の中頃のことです。以来、日本ではキノコ由来のベータ・グルカンの研究が活発に進められるようになりました。その結果、カワラタケやスエヒロタケ、シイタケ由来のベータ・グルカンをもとにガンの治療薬が作られ、免疫療法剤として使用されるようになったのです。
こうして日本ではベータ・グルカンといえば、キノコ由来のものが注目されてきました。その一方、欧米ではベータ・グルカンの研究は、パン酵母由来のものを対象に進められてきました。

顕微鏡が研究を飛躍させた
パン酵母の研究は最初にドイツで行なわれたようですが、なぜパン酵母なのか、研究の端緒ははっきりしたことはわかりません。ただし、パン酵母が着目されたのは20世紀に入ってからのことで、その頃にはすでに「顕微鏡」の精度もかなり高くなっていたはずです。
人間の病気と細菌微生物との関係も次第に明確になり、感染症に関心をもった研究者によって、ヒト血清の中に「菌を殺す作用をもつ物質」のあることがわかってきました。
そして、細菌を不活化する物質として「抗体」とは別に、抗菌活性をもつ物質の存在がわかり、「補体」という物質が見出されました。
こうした微生物と血清の研究の中で、パン酵母についても関心がもたれて、この補体を活性化する微生物として、パン酵母が浮上してきたのではないかと思われます。

ザイモサンを経てグルカンへ
1940年代にアメリカで、ルイス・ピレマー(Louis Pillemer)博士らが、パン酵母の細胞壁から抽出した成分が免疫を刺激すると発表しました。そして、この成分を「ザイモサン(ZYMOSAN)」と名づけました。
ザイモサンにはたんぱく質や脂質、糖質などが含まれていましたが、どの成分が免疫の活性化を促すのか、という点については明らかになっていませんでした。
しかし、その後、ニコラス・ディルゾン博士らの研究により、パン酵母の有効成分はベータ・グルカンであることが突き止められたのです。
以後、さまざまな研究が重ねられ、ガンをはじめ生活習慣病に対する切り札として、治療と予防の両面から期待を担うことになったのです。


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